私は、重度のうつ病と診断されて3年が経ちます。闘病生活の中で体験したこと、感じたことを紹介しています。うつ病で苦しんでいる方、近くにうつ病の方がいる方、自分がうつ病の傾向があるかもしれないと不安な方など、身近にうつ病という存在がある皆様の参考になりましたら幸いです。
シリーズでいろんな内容をお伝えしています。その内容には、噓偽り、誇張は含まれずすべて実体験を掲載しております。ただ、私には医学的専門知識はございません。必要に応じて、医師の意見を仰いでください。実体験に基づいてお話していますが、医学的根拠はございません。餅は餅屋です。宜しくお願いいたします。
闘病生活の始まり
私が「重度のうつ病」と診断されたのは、2022年の7月でした。約3年前です。自分で体調の異変を感じ始めてから1年以上が経過していました。気力も体力も限界を迎え退職届を出した際に、慰留の手段の一つとして産業医との面談が設けられました。そこで心療内科を紹介されたのですが、その時点では自分がうつ病であるという自覚はありませんでした。
心療内科での診察時に、マークシートテストのようなものを記入しました。スコアでうつ病の度合いが分かるらしいのですが、かなり重度であったようで。翌日からは出勤しないように強く止められました。いわゆるドクターストップです。元々退職するつもりだったので、こっそりと引継ぎ資料も作成していました。穴をあけられない業務も、何かしら理由をつけて私と部下の二人体制にしていました。退職届を出して受診までは2週間程度ありましたので、会社に大きな損害を出すことなく「休職」に入ることができました。
休職なのは、この時点で私も会社も「すぐに回復するだろう」と思っていたからです。会社は私が退職届を出すのはうつ病のせいだから、元気になって復帰してほしい。私はうつ病の状態で退職すると先が分からなくなるし、リハビリとして職場復帰してから退職を再検討してもいいかもという考えでした。有給消化して、傷病手当をもらいつつ回復を待つ方が経済的にも安心でした。転勤を繰り返していたので、その時住んでいた部屋も会社契約。家賃の半分が会社負担だったことも一旦休職にした理由でした。なにより、その時の診断書は「休職3ヵ月を要する」だったので。
私の現状
その日から3年以上が経ちますが、1年程前にその会社も退職しました。結局、復帰することはできませんでした。そして、私はまだ人生の休暇中。これまでに務めた複数の会社では、毎日16時間働いていたり、150連勤していたりということもしていました。その分のバランスをとりなさいということだと受け止めて過ごしています。決して「人生の夏休み」と呼べるほど、のんびりとしたものではありませんが。
現在も薬は飲んでいます。睡眠導入剤は半年前くらいにようやく卒業できました。しかし、まだ抗うつ剤は服用しています。診断後徐々に薬は増えていき、定められた最大量まで増えていました。今はようやく、その時の3分の1の量まで減りました。
日常生活は問題なく過ごせています。ただ、罹患前に比べるとまだ完全ではないという状況です。
うつ病患者の戦う相手は
闘病生活が続いているのですが、かなり回復をしています。できなくなっていたことができるようになったこともたくさんあります。その生活の中で感じるのは、「元々持っていたうつ病のイメージとはまったく違う病気だ」ということです。やる気がでない、眠りにくいということはイメージしていましたが、有名ではない症状がたくさんありました。強敵を数人倒せば任務完了だと思っていたのに、敵は大規模組織だった。そんなイメージです。敵にはボスだけでなく、中ボスがいて、小ボスがいて、戦闘員がいて。その組織が仮面ライダーのように順番に対戦してくれるとありがたいのですが、一気に全員で襲い掛かってくるのでたまりません。しかも「あなたも敵なの?」っていう未知の存在ばかり。
私は、そんな未知の大規模組織の全貌を知る限りお伝えしたい。襲ってくると分かっているだけで、「あ、あなたね。知ってる。」と少し余裕をもって対処できる方も増えると思います。
そして、大規模組織と戦っていることに周りは気づいてくれないんです。「数人の敵になにをそんなに苦戦しているんだ!頑張れよ!」という声が飛び交います。その声は激励なのですが、場合によってはその声の主が敵にすら見えてきます。私には幸運にもよく気づいてくれる妻がいましたが、気づいてくれない人が図らずも敵になってしまうこともあります。
敵を知る助けに
サツキングダムでは、うつ病患者の皆様が戦うかもしれない敵を紹介していきます。それは病気の症状かもしれないし、周りの目、周りの声かもしれない。経済的な面かもしれないし、思い込みかもしれません。そして共に戦うつもりの人が、図らずも敵になってしまうという悲しい出来事も減らしたい。うつ病患者の皆様の戦いが、少しでも過酷でなくなればと思っています。
敵を知り己を知れば、百戦して危うからず
敵を知らずして己を知れば、一勝一負す
敵を知らず己を知らざれば、戦うごとに必ず危うし
孫子
敵の実力や状況をよく知り、なおかつ自分自身のこともよく理解していれば、何度戦っても負けることはない。敵のことは知らないが自分のことはよく分かっている場合、勝つこともあれば負けることもある。敵のことも自分のことも分かっていない場合、戦うたびに必ず危険な状況に陥る。
私もあなたの仲間として、戦えたら嬉しいです。
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