本記事は「観測フェーズ・行動外在化 — Human Insight Series」の一編です。
基礎概念は「参照枠の再配置と補正運動の内部構造」を参照してください。
参照枠が再配置され、
行動の微調整と補正運動が静かに始まる段階になると、
人はすぐに「決断」や「前進」に向かうわけではありません。
むしろ、
——そんな「停留」に近い領域が、しばらく続くことがあります。
外側から見ると
「迷っている」
「動けていない」
と解釈されやすいこの状態は、
内部的にはすでに選択の前段階が形成されつつあるフェーズです。
ここでは
その停留域がどのような内部構造を持ち、
なぜ「決断」ではなく「保留」として外在化されるのかを描写していきます。
停留域は「消極性」ではなく、評価基準の再調整プロセス
補正運動が始まると、
旧基準と新基準のあいだに
わずかな段差(ラグ)が生じます。
このラグは
という中間的な位相をつくります。
その結果として現れるのが、
「決めない」
「保留する」
「引き延ばす」
という外在化された停留行動。
ここで行われているのは、
- 失敗回避でも
- 意思不足でも
ありません。
それは
「評価基準の沈降速度に、
行動の動き方を合わせている」
という構造的な同期の遅延です。
“選ばない”という行動が、観測のための余白になる
停留域では、
という態度が強く現れます。
これは
現実の中で「参照枠を試運転している」
という状態でもあります。
この期間に観測される外在化は:
など、
行動を「閉じる」のではなく
余白として確保し続ける運動です。
停留は静止ではなく、
「判断を急がないことで
構造を壊さずに観測を継続している」
という機能を持っています。
停留域の出口で、“選択の輪郭”が生成されはじめる
一定期間の観測が進むと、
という差分の輪郭が浮かび上がります。
そのとき初めて、
「これは、もう選ばない」
「これは、引き受け直す」
といった方向性としての選択が
まだ言語化されないまま、内部に立ち上がってきます。
ここで起きているのは
- 決断の瞬間 ではなく
- 選択として沈殿し始める前兆
です。
停留域は
「選択が自然に沈降していくための
前室(まえしつ)のような空間」
として機能しています。
次稿では、
選択が「内部感覚」から
どのように「実際の選択行動」へ移行していくのか
を扱います。
▼ 次稿予告
停留域を通過したあと、
「これはもう選ばない」
「これは今後の現実に残す」
という 選択の重み が、
どのように行動へ接続されていくのか。
次稿では
を、
「決断」ではなく
“軌道を描く運動”
として描写していきます。

